なぜトランプ政権はICCを悪魔視するのか 日本への衝撃と、トランプ氏の「個人的な恐怖」
トランプ米政権は日本時間の9日、国際刑事裁判所(ICC)の本体に制裁を科しました。今年のノーベル平和賞の受賞者に元国連人権高等弁務官のナビ・ピレイ氏に贈られてから数時間後のことでした。このタイミング自体に、トランプ政権のICCに対する激しい憎悪を感じます。ピレイ氏は元ICC判事ですし、事前予想では、ノルウェーのオスロ国際平和研究所がICCを有力候補の一つに挙げていたからです。トランプ政権は8月、赤根智子所長も制裁対象に加えていました。なぜ、トランプ政権はここまでICCを悪魔視するのでしょうか。
日本の説得も無視された「異例の制裁」
トランプ政権は第2次政権発足直後の昨年2月、ICCのカーン主任検察官(当時)を制裁対象にしました。ICCが、パレスチナ自治区ガザでの戦争犯罪や人道に対する罪の疑いを巡り、イスラエルのネタニヤフ首相とガラント前国防相に逮捕状を出していたためです。複数の日本政府関係者によれば、日本はこの時点から、制裁が赤根氏にまで及ぶことを警戒し始めていました。主にルビオ国務長官に対し、赤根氏への制裁は日米関係に悪影響を及ぼしかねないなどと説き、思いとどまるよう働きかけてきたそうです。
ただ、トランプ政権はその後、米軍関係者らがアフガニスタンで拘束者に拷問などを加えた疑いを巡り、ICCが捜査を進めてきたことも問題視しました。その結果、検察部門ではカーン氏に加え、副検察官2人も制裁対象となりました。裁判部門でも、18人の判事のうち、イスラエルやアフガニスタンに関する判断に関与した判事らへの制裁が相次ぎました。
そんななか、今年7月、ワシントン近郊のキャンプ・デービッドで開かれた閣議でルビオ氏が語った内容を聞き、日本政府に衝撃が走ったそうです。ルビオ氏は、2021年1月の連邦議会議事堂襲撃事件などを捜査し、トランプ氏を2度起訴したジャック・スミス元特別検察官を名指しし、ICCへの対抗姿勢を鮮明にしました。