成功が約束されていた会議にはしゃぐ日本 東アジア歴訪から見えるトランプ政権の危うさ
トランプ米大統領の第2次政権で初めてとなるアジア外交が終わりました。マレーシア、日本、韓国と続いた歴訪は、外交というよりも、「ノーベル平和賞を受賞したい」というトランプ氏の個人的な欲望を満たすための旅だったとの印象を強く持ちました。また、トランプ氏が米中首脳会談に焦点を合わせていたため、日本などは助演役を強制される結果になりました。政府や与野党、ほとんどのメディアが「日米首脳会談は大成功」「100点満点」とはしゃいでいましたが、果たしてそうでしょうか。
トランプ氏は9月の国連総会で、「7つの戦争を止めた」と豪語しました。関係消息筋によれば、トランプ氏は今回のマレーシア訪問の条件として、「7つの戦争」のひとつ、タイとカンボジアの和平調停式への出席を求めたそうです。ご丁寧にも「そこには中国を呼ばないこと」も、条件に付け加えたそうです。
                トランプ米大統領
トランプ氏は現在、パレスチナ自治区ガザでの停戦を含めて「8つの戦争を止めた」と主張しています。米ホワイトハウスは10月、ベネズエラの反体制派指導者マリア・マチャド氏のノーベル平和賞受賞を巡り、「ノーベル賞委員会は、平和よりも政治を優先することを証明した」と不満を表明。来年のノーベル平和賞の受賞に向けた野心をむき出しにしています。トランプ氏が今回、北朝鮮の金正恩総書記との接触に最後までこだわったのは、未だに休戦状態にある朝鮮戦争(1950~53年)を平和協定に変え、「9つの戦争を止めた」と誇りたいからなのでしょう。
メインは米中首脳会談だった
そして、トランプ氏がアジア歴訪の最大の目標に据えたのが、中国の習近平国家主席との首脳会談でした。