高市答弁で燃え上がる日中関係 日本が進むべき道と今こそ考えたい米国との関係
日中関係が激しく燃えています。高市早苗首相の「存立危機事態答弁」を契機にしていますが、最近の安保関連3文書の前倒し改定、非核三原則の変更、殺傷兵器の輸出などを巡る報道が相次いだことも影響しているでしょう。中国は、日本留学や中国人観光客の訪日の自粛、中国海警局の艦船による尖閣諸島の領海侵犯など、一斉に強い措置を繰り出しました。中国側として「日本の安保政策の変更は認めない」という強いメッセージを発信したかったのだと思います。
そんななか、気になるのが米国の反応です。一番、日本に寄り添った姿勢を示しているのがグラス駐日大使です。乱暴な言葉で高市氏の発言を非難した中国の在大阪総領事のSNSへの投稿などについて「揺るぎない日米の絆を一層深めるためのご尽力、まことにお疲れさまでございます」などと、ユーモアを交えて牽制しました。
講演するグラス駐日米大使=2025年10月16日、東京都内、清宮涼撮影
グラス氏は経済界出身ですが、第1次トランプ政権で駐ポルトガル大使を務めるなど、外交経験も豊富です。日米関係の強化に心を砕いていることでも知られています。トランプ米大統領は10月末に訪日した際、拉致被害者家族と面会しました。当初、ルビオ国務長官が面会する予定でしたが、グラス氏が親しい関係にあるワイルズ大統領首席補佐官に2回にわたり電話をかけ、「拉致問題は日本人にとって非常に重要な問題だ。大統領が被害者家族に会うべきだ」と説得したそうです。
ところが、今回の中国との関係について、肝心のトランプ氏の反応がはっきりしません。トランプ氏は10日、米FOXニュースとのインタビューで、「中国は我々の友人と言えないのではないか」という質問に対し、「多くの同盟国も友人とは言えない。中国以上に貿易で我々を利用してきた」と述べ、中国を直接批判しませんでした。トランプ氏は10月末の米中首脳会談でも台湾問題を取り上げませんでした。トランプ政権内では、「台湾有事の際には日本や豪州など地域同盟国に戦闘を任せ、米国は後方支援に回れば良い」と唱える人たちもいます。
高市答弁、抑止力になったのか?
なぜ、米国との関係が重要になるのでしょうか。