北朝鮮に本当の友達はいるのか 「利害と打算」か「お礼」で見えた笑顔の差
北朝鮮は10日、80回目の朝鮮労働党創建記念日を迎えました。10日午後10時から平壌で実施された軍事パレードには金正恩総書記のほか、中国の李強首相、ロシアのメドベージェフ前大統領、ベトナムのトー・ラム共産党書記長ら首脳クラスの来賓が顔をそろえました。ラオスのトンルン国家主席も7日から8日まで訪朝し、金正恩氏と首脳会談を行いました。私はパレードの映像を見ながら、頭の中に「このなかに、本当の金正恩氏の友人はいるだろうか」という疑問が浮かび上がりました。

10日、平壌・金日成広場で行われた朝鮮労働党創立80周年慶祝閲兵式で演説する金正恩朝鮮労働党総書記(朝鮮中央通信=朝鮮通信)
来賓の共通点とは
今回の来賓の共通点は「思想信条」です。朝鮮中央通信は前述した4人の首脳をすべて「同志(トンジ)」と呼びました。北朝鮮では同僚のことを「同務(トンム)」と呼び、社会的な地位が高い人に対して「同志」と呼びます。インターネットでは、中国、北朝鮮、ラオス、ベトナム、キューバの5カ国を「世界で最後に残った共産主義(社会主義)国家」などと呼んだりします。ロシアの場合、ソ連崩壊後はしばらく「プーチン大統領」「プーチン閣下」でしたが、関係が緊密化した数年前から「プーチン同志」に変わりました。
これはある意味、北朝鮮の身の丈に合った外交とも言えます。経済的に羽振りが良かった1970年代くらいまでは、北朝鮮は記念日を迎えるたびに一人でも多くの海外首脳を呼び集めることに熱中しました。金日成主席のフランス語通訳だった高英煥・元韓国統一教育院長によれば、金正日総書記が行事ごとに集める首脳のノルマを外務省に課したそうです。高氏が担当していたアフリカ諸国の首脳の一部は北朝鮮の経済援助目当てで平壌にやってきたそうです。高氏は「ただ物見遊山で来るだけの人物に航空運賃や滞在費を負担してやっただけではなく、スタジアムや宮殿建設など多額の経済支援をした。当時のことを思い出すと胸が痛む」と語ります。北朝鮮が経済難に陥ると、こうした首脳たちは平壌にやって来なくなりました。
では、今回平壌にやってきた人々は、本当に北朝鮮の「真の友人」と呼べるのでしょうか。