「歴史から忘れ去られた人々」への人間愛に満ちた行動 在日韓国人の知人が靖国を訪問した理由とは
8月23日に東京で行われた石破茂首相と韓国の李在明(イジェミョン)大統領による首脳会談。日韓関係を重視するとした李氏の姿勢に、日韓メディアは概ね好意的でした。私はちょっと人が悪いので、額面通りには受け取っていません。戦略環境の悪化や新たな防衛協力などの懸案に触れず、ひたすら「韓日関係は大切」と訴える李氏の姿に、「文在寅政権の時の日韓関係に逆戻りしないか」と心配する韓国の保守・中道層を安心させる政治的意図を感じたからです。
韓国の知人たちは、李氏について「権力の維持を最優先に考える人物だ」と評します。政権発足直後で体力のあるうちに、韓国の中道層の支持を取り込み、来年の統一地方選に向けた政治基盤の強化を目指しているのでしょう。
そんな李在明氏の訪日でしたが、私自身、色々と考えさせられる場面がありました。韓国メディアによれば、李氏は訪日直後、東京のホテルで在日韓国人たちと昼食会を開きました。李氏は「我が国の激動の歴史のあらゆる場面で、同胞の献身と犠牲があった」と語りました。1970年代に、当時の韓国政府が在日韓国人の韓国留学生をスパイにでっち上げた事件についても謝罪しました。李氏は「韓国政府は皆さんの愛国心を忘れず、必ず記憶し、恩返しするようにする」と強調したそうです。
なぜ在日韓国人の知人は靖国神社へ?
私はこのニュースを読みながら、ある知人から今月に頂いたメールを思い出しました。知人は「最近、靖国神社を訪れた」とつづっていました。知人は日本人ではありません。海外からの観光客でもありません。在日韓国人の方です。韓国の人々が「日本の戦争犯罪の象徴」として忌み嫌う靖国神社を、在日韓国人の知人はなぜ、訪れたのでしょうか。