トランプ王国の「壊れっぷり」示したアラスカ会談 お騒がせ男に悩み募るのは北朝鮮か

アラスカ会談であらわになったのはトランプ政権の「壊れっぷり」でした。会談がずさんな結果に終わった理由と背景にはトランプ王国の性質があります。そして、この「壊れっぷり」は別の国との交渉にも波及しかねないのです。
牧野愛博 2025.08.24
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トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領が15日、米アラスカ州の米軍基地で首脳会談を行いました。トランプ氏は1月の大統領就任前には、ロシアによるウクライナ侵略を1日で終わらせると豪語していましたが、この首脳会談を経てもプーチン氏は停戦に応じていません。なぜ、こんな結果に終わってしまったのでしょうか。米国やロシアの事情に詳しい知人たちに聞いてみると、「トランプ王国」がいかにひどい状況に置かれているのかが、わかりました。

トランプ米大統領

トランプ米大統領

アラスカの米軍基地で、プーチン氏をレッドカーペットで迎えたトランプ氏。上空を戦闘機が飛行するなか、米大統領専用車「ビースト」に一緒に乗って会場に向かいました。その後の結果はご存じの通りです。米政府が「最低でも6~7時間以上」と見込んだ会談時間は、3時間ほどで終わりました。両首脳は記者会見したものの質疑応答はせず、予定していたワーキングランチも中止になりました。

ロシアに駐在経験がある知人は「プーチンは、トランプのことを知り尽くしていた」と語ります。ウクライナ東部2州の割譲など、自分の主張は絶対譲らない代わりに、所々でトランプ氏の自尊心をくすぐりました。「自分が大統領だったらウクライナ戦争は起きなかった」というトランプ氏の持論に同意してみせたり、会見の最後にわざわざ英語を使って、「次はモスクワで」と語ったりしました。「トランプ氏のプライドを傷つけなければ大丈夫だ」と分析していたのでしょう。

プーチン氏にとって今回、米ロ首脳会談をすること自体が目的でした。

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