イラン攻撃でゴールポストを動かす米国とイスラエル タブーの「逐次投入」はありえるのか
米国とイスラエルがイランを攻撃して1週間以上が経ちました。トランプ米大統領は一時、イランの核施設や海軍の破壊などを目指しているとしましたが、無条件降伏を要求する場面もあるなど、発言や態度が揺れています。その結果、日本軍が80年以上前に苦い教訓とした「戦力の逐次投入」という事態が生まれる可能性が出始めています。陸上総隊司令官を務めた高田克樹元陸将にお話をうかがいながら、米国が抱える問題点や東アジアの安全保障への影響を考えてみました。

高田克樹元陸将
――米軍とイスラエル軍は制空権を獲得したようです。
制空権があれば、イランの防空兵器の射程外から攻撃する必要はなく、イラン領空内での爆撃も可能になります。アウトレンジからの高価な精密誘導兵器を使用しなくても、従来型の安価な爆弾などを使って攻撃を続けられると思います。
――米国メディアは米軍が特殊部隊を派遣してイランの濃縮ウランを確保する可能性を伝えています。
現在、イランもデフコン(ディフェンス・レディネス・コンディション=戦争への準備態勢)を上げています。隠密性が作戦の成否を決める特殊部隊の作戦は、交戦状態の最中には難しいと思います。
さらにイランは4千メートル級の山脈で囲まれた特殊な地形です。1980年に米軍特殊部隊を投入して在テヘラン米国大使館員の救出を狙った「イーグルクロー作戦」はヘリコプターのトラブルで失敗しました。
また、昨年6月、米軍がイランのウラン濃縮関連施設を爆撃した「ミッドナイトハンマー作戦」で、トランプ氏はイランの核の脅威を破壊したと説明しました。米国がイランのウラン濃縮の実態について十分把握していない証拠だと思います。数量も場所もはっきりわからない、危険物質の高濃縮ウランを持ち帰るのはほぼ不可能でしょう。
――米軍の作戦目標を巡り、トランプ氏の発言が二転三転しています。
