米軍制服組トップから学びたい、健全な政軍関係 自民党大会の自衛隊問題はなぜ起きたのか?
12日に開かれた自民党大会で、陸上自衛隊員が制服を着て国歌を歌いました。この一件について、一部に激しい反発の声が上がっています。曰く、「自衛隊の政治的中立性が揺らいでいる」という批判です。私もおおむね、同じ意見なのですが、同時に物足りなさも感じています。
自衛隊法61条は自衛隊員の政治的行為を制限しています。防衛省や自民党は「問題がない」としていますが、特定の政党の大会に自衛隊の制服を着て出席し、「陸自隊員」という紹介を受けてプログラムの一部を消化する行為は、自衛隊の政治的中立性を疑わせる行為だと言われても仕方がないでしょう。私がインタビューした、元海上自衛隊海将補で徳島文理大総合政策学部の高橋孝途教授(国際政治・安全保障論)も「自民党と自衛隊への高い支持に頼った慎重さを欠く行為だった」と語りました。

自民党大会で国歌斉唱に参加した自衛官=2026年4月12日、東京都港区、金居達朗撮影
なぜ起きたのか? 議論で欠けているもの
ただ、この一件を批判するメディアや人々は、自衛隊の行為を強く批判していますが、どうして今回のような事件が起きたのかという考察が欠けているように感じます。高橋氏は「一般世論が自衛隊に厳しい視線を注いでいた時代は、旧軍の暴走への反省もあり、『政治に関与しない』というよりも、政治にかかわることに非常に慎重だった」と語ります。
「自衛隊員が許された唯一の政治行為」は投票です。このため、自衛隊は選挙や投票に関しては、非常に細かな手引書や内規を定めています。知り合いの陸上自衛隊元幹部によれば、「選挙の際、候補者が駐屯地の前で演説することは構わないが、構内に入れてはいけない」「隊員に対し、特定候補の演説を聴け、あるいは聴くなと指示してはいけない」「選挙前に、立候補が予想される人物を駐屯地に招いて講演させてはいけない」等々です。
自衛隊法施行令では、支持するために公私の影響力を行使してはならないことになっています。高橋氏は「厳密に解釈すると、自分が支持する政党を家族や友人に話すこともできなくなる」と語ります。