太平洋が米中に2分割される日が近づいている 「米軍が去る日」にどう備えるか
ピート・ヘグセス米国防長官が5月30日、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で演説しました。私も国防総省が発表した演説全文を読んでみました。官僚が準備した原稿をそのまま読んだという印象で、ヘグセス氏お得意の「戦士の精神」に触れることも、欧州に対するような文化的な非難もありませんでした。ただ、私はとても不安です。ヘグセス氏は触れませんでした(話したくなかったのかもしれません)が、最近の米軍の様子から、混乱や困惑を感じるからです。
ヘグセス氏は演説で「米国は太平洋の国だ」と語り、アジア諸国を安心させました。と同時に様々な同盟国・同志国の名前を挙げ、防衛費の増加を迫りました。台湾への踏み込んだ対応には触れず、中国との対決色を抑えつつ均衡重視を打ち出しました。今年公表された米国の国家防衛戦略(NDS)をそのまま踏襲したと言えるでしょう。

アジア安全保障会議で演説する米国のヘグセス国防長官
でも、ヘグセス氏は米軍が抱える悩みについては語りませんでした。その象徴が海軍艦艇の不足です。米海軍は5月11日、今後約30年間の新造艦・退役艦・艦隊規模の見通しを示す「艦隊整備計画」を公表しました。いわゆる「トランプ級」の原子力戦艦15隻の建造構想を盛り込みました。現在約290隻の戦闘艦を元に、将来的には無人艦艇なども含む最大450隻規模の艦隊構想を打ち出しました。
しかし、本当にそんなことが可能でしょうか。