太平洋が米中に2分割される日が近づいている 「米軍が去る日」にどう備えるか

ヘグセス米国防長官の演説は同盟国に安心感を与えるものでした。しかし、その裏側には米軍の構造的な限界と戦略の迷いが見え隠れしています。「米軍が去る日」が来たならば、私たちはどうすべきなのでしょうか。
牧野愛博 2026.06.07
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ピート・ヘグセス米国防長官が5月30日、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で演説しました。私も国防総省が発表した演説全文を読んでみました。官僚が準備した原稿をそのまま読んだという印象で、ヘグセス氏お得意の「戦士の精神」に触れることも、欧州に対するような文化的な非難もありませんでした。ただ、私はとても不安です。ヘグセス氏は触れませんでした(話したくなかったのかもしれません)が、最近の米軍の様子から、混乱や困惑を感じるからです。

ヘグセス氏は演説で「米国は太平洋の国だ」と語り、アジア諸国を安心させました。と同時に様々な同盟国・同志国の名前を挙げ、防衛費の増加を迫りました。台湾への踏み込んだ対応には触れず、中国との対決色を抑えつつ均衡重視を打ち出しました。今年公表された米国の国家防衛戦略(NDS)をそのまま踏襲したと言えるでしょう。

アジア安全保障会議で演説する米国のヘグセス国防長官

アジア安全保障会議で演説する米国のヘグセス国防長官

でも、ヘグセス氏は米軍が抱える悩みについては語りませんでした。その象徴が海軍艦艇の不足です。米海軍は5月11日、今後約30年間の新造艦・退役艦・艦隊規模の見通しを示す「艦隊整備計画」を公表しました。いわゆる「トランプ級」の原子力戦艦15隻の建造構想を盛り込みました。現在約290隻の戦闘艦を元に、将来的には無人艦艇なども含む最大450隻規模の艦隊構想を打ち出しました。

しかし、本当にそんなことが可能でしょうか。

米海軍は「数」で中国に勝てない

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