国力研究会のネーミングが示す、日本政治の課題 スローガンだけでいいのか
5月21日、自民党の勉強会「国力研究会」の発会記念講演会が開かれました。高市早苗首相の応援団組織と位置づけられ、自民党所属議員の8割前後が入会したと報じられています。英語の通称はJIB(JAPAN IS BACK)なのだそうです。この名前を聞いて、色々な考えが頭をよぎりました。
私が政治記者をしていた30年前から、自民党ではしばしば、「再生」や「復活」をテーマとしたスローガンや勉強会が誕生してきました。代表的なものは、党保守系議員らが立ち上げた「『創生』日本」(旧称、真・保守政策研究会)でしょうか。口々に「日本の復活」を唱えてきました。

こうした、世界第2位の経済大国だったかつての日本を取り戻すという試みが成功しなかったことは、皆さんがご承知の通りです。日本は、1990年前後のバブル経済崩壊の後遺症や少子高齢化による労働力の不足などからデフレ状態に陥りました。世界に比べ、日本経済は低成長が続きました。非正規雇用も増え、労働力の流動性は高まりましたが、労働生産性は下がりました。
「一億総中流」の帰結
ただ、「自民党はかけ声ばかりで、何もしてこなかった」と一方的に責める気にもなれません。私は政治記者時代、外国の専門家からしばしば聞かされた「自民党は白い共産党」「日本は世界で一番成功した共産主義国家」という冗談を覚えています。日本は高度成長期、珍しいことに貧富の格差が広がらず、「一億総中流」という言葉を生みました。「優しい社会」が大切にされ、産業構造やビジネスモデルを壊してしまうような技術やサービスに投資する「破壊的投資」を避ける風潮があったと思います。
日本が今後、経済成長していくためには高付加価値の産業育成が重要になると言われます。現代でいえば、AI(人工知能)の研究と開発、産業化でしょうか。ただ、皆さんご存じのように、AIは米中が2大強国とされ、日本は指標によって幅がありますが、世界ランキングでおおむね10位前後と評価されているようです。
むしろ、日本では当分、少子高齢化が続きます。65歳以上の高齢者の数は2040年代前半に約3900万人でピークを迎え、その後は減少するとされています。ただ、総人口が減っていくため、65歳以上が占める「高齢化率」は2070年前後に約39%でピークを迎えるまで上昇が続くそうです。
バラ色の政策提言には限界がある
こうしたなか、打つ手がないとは言えません。例えば、移民の奨励です。