韓国の若者たちは、なぜ保守化するのか 株高の熱狂と住宅難という絶望のはざまで
「今日のコスピ(KOSPI=韓国総合株価指数)はいくら上がったの」。韓国の人々が挨拶代わりにしている言葉です。KOSPIは6月半ば、1年前の約3倍となる9千ポイントを初めて超え、過去最高圏に達しました。米国などの市場リサーチ会社からは「今年中に1万ポイントを超える」という予測も出ています。
なぜ、こんなに上昇しているのでしょうか。その背景には、韓国半導体大手のSKハイニックスとサムスン電子の好調な業績があります。両社はKOSPIの時価総額で大きな比重を占めています。世界は人工知能(AI)ブームです。米AI関連企業は各地にデータセンターを設立しようとしており、世界的に半導体が不足する状況が生まれているからです。
「株をやらない若者はいない」
韓国経済紙幹部の知人は「韓国の株式市場で上昇しているのはSKハイニックスとサムスン電子だけと言っていいくらい、いびつな状況になっている」と語ります。私の知人の息子さんはSKハイニックスに勤めています。「今年のボーナスはいくらもらったんですか」と私が下世話な質問をすると、知人は「1億ウォン(1千万円)くらいだったようだよ」と教えてくれました。30代半ばの息子さんは未婚ですが、「これで結婚資金ができた」と喜んでいたそうです。ニュース番組は「医学部ではなく、エンジニアなどを養成する学部を希望する学生が増えている」と報じていました。

ソウル・光化門広場=6月25日、牧野愛博撮影
そんな好調な株式市場に韓国の人々は熱中しています。特に若い人々の間では「株をやらない人はいない」とまで言われています。若い世代は皆、スマホに証券会社のアプリをダウンロードしています。知人の一人は「登録した口座を通じて売買するため、面倒なやり取りもない」と語ります。
韓国では、株取引指南のユーチューブが乱立しています。今回のソウル出張中、バスや地下鉄の車内でユーチューブを一心不乱に見つめたり、スマホで株取引をしたりする若いサラリーマンの姿をあちこちで見かけました。株取引が始まる午前9時には、トイレにこもって株取引に熱中する社員もいるそうです。
保守化を生む絶望感
では、なぜ若い人々が株に夢中になるのでしょう。