日本の価値外交が敗北した日——高市氏の「進化したFOIP」が壊したもの

世界の首脳が北京へ向かうなか、高市早苗首相が打ち出した外交演説には失望しました。「進化したFOIP」をめぐる違和感を手がかりに、日本の価値外交が敗北した日を考えてみました。
牧野愛博 2026.05.24
読者限定

世界の首脳の北京詣でが止まりません。昨秋から英独仏加などの首脳が訪れたほか、5月にはトランプ米大統領とロシアのプーチン大統領も相次ぎ、北京で習近平・中国国家主席と会談しました。単純に中国をうらやむ必要はありませんが、日本外交はどうも調子がよくありません。私は高市早苗首相が5月2日にハノイで行った外交演説を聴いて、がっかりしました。

ハノイでスピーチする高市首相=首相官邸のHPから

ハノイでスピーチする高市首相=首相官邸のHPから

この日の演説の目玉は「進化したFOIP(自由で開かれたインド太平洋)」でした。高市氏は、最近の厳しい国際情勢を踏まえ、域内の各国が「自律性」と「強靱性」を身につけることが必要だという考えを示しました。要するに「自由で開かれたという理念は維持するが、そのためには力が必要だ」という論理展開でした。そのうえで、安全保障分野での協力強化などを訴えました。

「破綻」していた高市氏の論理

この論理は「進化」ではなく「破綻」です。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、1792文字あります。
  • 牧野愛博(まきの・よしひろ)

すでに登録された方はこちら

読者限定
いま米国とトランプ氏に欠けているものは何か ベトナム戦争と歴代米大統領...
読者限定
自衛隊の階級名変更をどう考えるべきか― 名前に宿る「精神」「誇り」と「...
読者限定
80年を迎えた東京裁判を考える――戦後秩序の終わりに、日本はどこへ向か...
読者限定
米軍制服組トップから学びたい、健全な政軍関係 自民党大会の自衛隊問題は...
読者限定
トランプ大統領の前ではAIの出る幕はない? 結論ありきが起こしたイラン...
サポートメンバー限定
「民主主義に守られたエセ独裁者」 トランプ氏はなぜ暴言を吐くのか
読者限定
トランプ政権はAIの「おべっか」に振り回されたのか? イラン戦争から見...
読者限定
蓮池薫さんだけが持つ、北朝鮮を見通す力 対談で学んだこと