トランプ氏とヘグセス長官が米軍を破壊する 「無能な管理」と「優秀さへの嫉妬」が行き着く帰結
トランプ米大統領とヘグセス国防長官に激しい非難の声が渦巻いています。米連邦議会下院では15日、ヘグセス氏に対する弾劾決議案が提出されました。以前から非難の声はありましたが、今回は「本当に我慢できない」という雰囲気のようで、ボルテージが上がっています。原因はダン・ドリスコル陸軍長官の辞任でした。共和党のトム・ティリス上院議員はXで「国に奉仕する勇敢な男女への、こんな無能な管理を見たことがない。彼(ヘグセス氏)は有能さに怯え、国防の重要な仕事や戦闘部隊の健康・福祉に真剣に取り組む代わりに文化戦争を煽っている」と投稿し、厳しく非難しました。米メディアによれば、ヘグセス氏が解任したり、同氏との衝突などを背景に辞任・退任したりした国防総省・米軍の幹部は多数に上ると報じられています。
嫉妬で追放される米軍のエリートたち
ドリスコル氏は、イエール大学法科大学院の同窓だったバンス副大統領と親しく、米陸軍内での信任も厚かったそうです。トランプ大統領は一時、ドリスコル氏をウクライナ外交に起用しました。ヘグセス氏の悪評も相まって、「ドリスコルこそ次の国防長官の最有力候補」とも噂されていました。ヘグセス氏は4月、そんなドリスコル氏と二人三脚で陸軍改革を進めていたランディ・ジョージ陸軍参謀総長を解任。ドリスコル氏がジョージ氏の後任に望んだとされるクリストファー・ドナヒュー欧州・アフリカ陸軍司令官の参謀総長就任も実現せず、ドナヒュー氏は6月、退任に追い込まれました。ドリスコル氏とジョージ氏が力を入れた米陸軍のドローン関連の近代化計画や専門部隊についても、見直しや廃止の動きが出ています。

記者会見に臨むヘグセス米国防長官(右)=2026年3月31日、ワシントン近郊の国防総省、畑宗太郎撮影
ヘグセス氏には、ティリス氏が指摘した通り、「自分より優秀な人間に対する恐れや嫉妬」があるようです。米国でも有数のエリート集団と言われる米軍の優れた将官たちやバンス氏と親しいドリスコル氏に対する激しい嫉妬を生み出しているようです。
それでは、ヘグセス氏の行動は米軍をどの程度破壊することになるのでしょうか。陸上自衛隊東北方面総監を務めた松村五郎元陸将は、その前提として「軍人特有の二つの価値観を頭に入れておく必要がある」と語ります。それは「仲間意識」と「正当性に対する意識」なのだそうです。松村氏は「軍人たちは生死を共にするため、信頼関係が極めて重要です。これは、兵士も将軍も同じですし、世界共通の意識です」と語ります。
次に、松村氏は正当性に関する意識について、「軍人は、戦争という正当化された殺人を行います。だから、正当性についての意識が強いのです。自分たちの行いが正当だと理解できなければ戦争はできません」と語ります。
軍人を道具扱い、引き起こされる「組織の分裂」
この前提で考えた場合、ヘグセス氏は三つの点で軍人を逆なでしたり、分裂させたりしているようです。