イランでの失敗を北朝鮮で埋めるトランプ氏 「米朝国交正常化」という悪夢に高市首相は沈黙するのか
米国のトランプ大統領は19日、記者団に対して、北朝鮮の金正恩総書記との年内に会談する意向を表明しました。トランプ氏は、北朝鮮が「非常に強力な」核兵器を57発保有しているとも語りました。米紙ウォールストリート・ジャーナルは18日、中国の深圳で11月に開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に合わせて実現を探ることが、内々に検討されているとしました。これは日本にとって由々しき事態です。単なる会談にとどまらず、北朝鮮の核保有の認定、制裁の全面解除、米朝国交正常化、朝鮮戦争の休戦協定から平和協定への転換などが、一気に視野に入ってきたからです。まさしく国難です。
土壇場での決定に見える「行き当たりばったり」
なぜ、私がそう考えるのか。それはトランプ氏の行き当たりばったりで、いい加減な動機が透けて見えるからです。トランプ氏は17日に米韓合同軍事演習が始まる直前、「大幅な縮小」を指示したと自身のSNSで明かしました。金正恩氏との良好な関係を理由に挙げていたことから、米朝首脳会談への環境整備の狙いがあったことは間違いありません。
しかし、これは行き当たりばったりの思いつきだと断言できます。韓国軍合同参謀本部は19日、17日から27日までの予定だった米韓合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムシールド」を21日までで終え、野外機動訓練も一部縮小すると発表しました。米国側からの提案に基づくものだとしています。同訓練は大規模かつ定例の訓練で、ほぼ1年前から次年度の演習について検討・準備します。
トランプ氏が戦略的に演習の縮小を考えていたなら、こんな土壇場での指示はありえません。トランプ氏は「費用がかかりすぎる」と怒っていますが、米軍部隊はすでに現地に入り、様々な物資も搬入していたはずです。キャンセル料は誰が支払ってくれるのでしょうか。また、このタイミングでの発表は、トランプ氏が米朝会談の意向を事前に同盟国である韓国に伝えていなかった事実を雄弁に物語っています。独りよがりの決定もいいところだと思います。