「サソリとカエルの関係」にあるトランプ氏とマスク氏 NASAは川に落ちてしまうのか?
イランとイスラエルの交戦状態は世界の関心を集めましたが、約1カ月前のトピックはトランプ米大統領と実業家イーロン・マスク氏との、SNSや記者会見を通じた派手な「口喧嘩」でした。マスク氏は、トランプ氏が主導した税制・歳出法案を「忌まわしい」と罵倒。トランプ氏も「(マスク氏)に非常に失望している」と応酬し、「我々の予算を節約する最も簡単な方法は、イーロンへの政府補助金と契約を打ち切ることだ」とまで踏み込みました。米政府がマスク氏率いる米宇宙企業スペースXと交わした計約220億ドル(約3兆1760億円)の契約のことです。

共同会見で質問する記者を指すトランプ米大統領=2025年2月7日、米ワシントンのホワイトハウス、恵原弘太郎撮影
ただ、その後、この動きは徐々に沙汰止みになっているようです。宇宙を巡る安全保障に詳しい中曽根平和研究所の長島純研究顧問(元空将)は一連の推移をみながら、昔の欧米の寓話「サソリとカエル」を思い出したそうです。「背中に乗せて向こう岸まで連れて行ってくれ」と頼むサソリに、カエルは刺されるのではないかと考えて拒みます。サソリは「刺したら、私も死んでしまう」と説明して説得し、乗せてもらいますが、結局はカエルを刺してしまいます。この寓話は「悪人は自分の利益にならなくても人を傷つけるので、決して信用してはならない」というものですが、長島氏は「トランプ氏とマスク氏の関係はまさに、サソリとカエルのようなものです」と語ります。「2人は傷つけ合えば、共に沈んでしまう関係にあるからです」。どういうことでしょうか。