生成AIで戦争はどう変わるのか? AIが軍事作戦を決める時代について考える 元陸自幹部の目線

生成AIが戦争の帰趨を決めるかもしれない時代がきています。米国のベネズエラへの軍事作戦でも実際使われたとの情報もあります。最強のAIを持つ国が戦争を制することになるのでしょうか? 新時代の軍隊像に詳しい元陸自幹部の見方とは。
牧野愛博 2026.02.22
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米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は13日、米国がベネズエラのマドゥロ大統領を拘束した作戦で、国防総省が人工知能(AI)を利用していたと報じました。米新興企業アンソロピックが開発した対話型の生成AIが使われたそうです。戦争を含む軍事作戦にどんな影響があるのか。著書「新しい軍隊」(内外出版)などで宇宙やサイバー、世論操作などを論じるなど、新時代の軍隊像に詳しい松村五郎元陸上自衛隊東北方面総監(元陸将)に聞きました。

今年1月3日、ホワイトハウスのオペレーションルームでベネズエラへの軍事作戦「オペレーション・アブソリュート・リゾルブ」を見守るトランプ大統領ら⁼ホワイトハウスのホームページから

今年1月3日、ホワイトハウスのオペレーションルームでベネズエラへの軍事作戦「オペレーション・アブソリュート・リゾルブ」を見守るトランプ大統領ら⁼ホワイトハウスのホームページから

――ベネズエラでの軍事介入で、生成AIはどのような役割を果たしたのでしょうか。

報道では、米軍はサイバー攻撃や巡航ミサイルなどを使用してベネズエラの防空能力などを麻痺させたうえで、米陸軍の特殊部隊「デルタフォース」がマドゥロ氏夫妻を拉致したと言われています。

こうした作戦では、サイバー攻撃や電子戦、火力による対空兵器の無力化、特殊部隊の侵入などを、最適なタイミングで組み合わせる必要があります。例えば、サイバーやミサイルによる攻撃が早すぎれば、相手が装備を復旧したり、特殊部隊の突入を警戒したりする時間を与えてしまいます。すべての効果が同時に発揮されて、相手に対応する隙を与えないことが重要です。

ミサイルも種類や発射地点などで弾着の時間が異なります。特殊部隊の出撃地点や侵入ルートによっても到着時間は変わります。従来の戦争ではすべての砲弾を同時に弾着させる「TOT(タイムオンターゲット)」が重視されてきましたが、現代では様々な手段を組み合わせることで作戦が複雑化・高速化しています。こうした問題をAIを投入して解決したのではないでしょうか。

――ベネズエラ軍の動きなどで状況は刻々と変化しませんか。

AIならリアルタイムで修正ができます。都度、必要なデータを入力するのがコンピューターですが、AIは地形、気象予報、ベネズエラ軍の配置などあらゆるデータをあらかじめ把握しているほか、刻々と衛星や偵察機などから送られる情報も取り入れます。AIに「マドゥロ大統領の拘束」など作戦目標だけ入力すれば、後はAIがリアルタイムで状況の変化に応じて最適な指示を出す仕組みになっていたと思います。

――AIは米軍にどのようにして指示していたのですか。

作戦行動している軍人にAIが直接、メールやチャット形式で伝えることもできるでしょう。あるいはAI出力を見ている司令部要員が都度、実行部隊に指示していたのかもしれません。

――AIの指示が間違うことはないのですか。

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