「米国の同盟国の核保有論」、専門誌に提唱した米有識者の見解は? 波紋広がる官邸幹部発言
昨年末の首相官邸幹部による「日本は核を保有すべきだ」という発言が波紋を広げています。日本では最近、非核三原則について、「持ち込ませず」を除く2原則にするべきだという声が出ています。私は核武装には賛成しない立場ですが、議論は大いにすべきだと思っています。官邸幹部が語った「周辺環境の悪化」「頼れるのは自分たち(日本)だけ」という状況は否定できないからです。
官邸幹部による発言が出る前の昨年11月、私はたまたま、米オクラホマ大のモーリッツ・グレーフラス准教授とマーク・レイモンド准教授にインタビューしていました。両氏が共著で米外交専門誌フォーリン・アフェアーズに、日本などを名指しして「米国の同盟国は核保有国となるべきだ」と題する論文を発表したからです。私は「日本人の記者なので、否定的な質問を投げかけることを許して欲しい」とお願いしつつ、意地の悪い質問を次々に投げかけました。お二人は非常に真摯に答えてくれました。やり取りを以下の通り、ご紹介します。
米有識者へのインタビュー
――現在の核不拡散条約(NPT体制)についてどう評価しますか。
(レイモンド氏)
NPTは1970年に発効して以来、世界の核秩序の礎となっています。私たちの主張は、核兵器の拡散防止の重要性を軽視するものではありません。核兵器禁止条約(TPNW)もそうです。NPTは、新たな核保有国の出現を抑えてきた世界的な核秩序の一部として依然重要だと思います。
――論文では選択的な核拡散の対象国として日本、ドイツ、カナダを挙げました。
(レイモンド氏)
日独加3カ国は、選択的核拡散が米国にも同盟国にも利益をもたらす、本当にウィンウィンの関係になれる国々です。米国の主な利益は、同盟国が安全保障の負担をより担えることです。同盟国にとっては、核兵器は権威主義勢力(日本の場合は中国)に対する最良の防御手段になります。米国が(核の傘などの)安全保障上の約束を再考する可能性も防げます。日独加3カ国は、(政治情勢が)極めて安定しているだけでなく、国際秩序に強くコミットしている点で特に魅力的です。
――選択的な核拡散は、韓国や台湾などの核ドミノ現象を引き起こしませんか。