「非核三原則」の徹底順守、「核武装」の徹底議論を 官邸幹部の核保有発言から考えるべきこと
首相官邸幹部の核保有に関する発言が物議を醸しています。ただ、国際情勢は日本を核武装への道に追いやっています。米国も守ってくれない可能性もあるなか、求められることとは。
牧野愛博
2025.12.28
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首相官邸幹部の「日本は核兵器を保有すべきだ」という発言が各方面に波紋を投げかけています。野党や被爆者団体は怒り、自民党の一部も含めて発言した幹部の更迭を求める声が上がっています。私はただちに官邸幹部の発言に同意しませんが、そのような考えを持つことになった背景は理解します。幹部の責任論が必要なのかもしれませんが、この議論を封じることには反対です。
猛烈に反発している人々の意見をまとめると、「唯一の戦争被爆国としての責任を放棄している」「非核三原則という政府の公式見解に反している」というものだと思います。いずれも、日本政府の中枢と言える首相官邸の幹部として、いくらオフレコでの発言だったとはいえ、複数の記者がいる場としては適切とは言えないでしょう。その意味で、幹部の責任論が浮上することは致し方がないかもしれません。
「核武装」に追いやられる日本
ただし、私は「核兵器を保有すべきだ」と語った幹部の心中について察するものがあります。世界の情勢が日本を核武装への道に追いやっているからです。