混乱がつづく2026年 「戦国時代」のような世界で日本はどう生き抜くか?
新しい年が明けて早々、世界が混乱しています。混乱の中心にいるのはトランプ米政権です。1月3日にベネズエラのマドゥロ大統領夫妻を「拉致」したほか、デンマーク自治領グリーンランド領有への野心を繰り返しています。国内が混乱するイランへの軍事作戦も示唆しています。戦後秩序を築き、最大の守り手でもあった米国の醜態は、世界をどこに向かわせるのでしょうか。私はただちに第3次世界大戦につながるとは考えませんが、日本の戦国時代のような世界が出現するのではないかと考えています。
トランプ米大統領
米イェール大学ブレイディ・ジョンソン大戦略プログラムのマイケル・ブレネス副所長は1月に米外交誌フォーリンアフェアーズに寄稿した論文で「第二次世界大戦後の秩序は終わった」と書きました。そして、米国と中国が引っ張る現在の世界について「少数の帝国が経済圏を巡って競い合った19世紀に似ている」と指摘します。当時は、「強欲で権威主義的な行動を抑制できる効果的な多国間機関や国際法が欠如していた」とも説きます。確かに、米国は第1次世界大戦後に設立された国際連盟に参加しませんでした。
そして、ブレネス氏は、21世紀の世界は必ずしも19世紀と同じではないとも主張します。「今の世界は当時よりもはるかに多極化しており、小国が世界の舞台でより大きな影響力を発揮している」からです。私もブレネス氏の主張に同意します。では、この前提に立った場合、現在のベネズエラやグリーンランド、イランなどの事態は国際社会をどう変えていくでしょうか。
どうなる?「ドンロー主義」
まず、トランプ政権が掲げる「ドンロー主義」は失敗に終わるでしょう。トランプ氏の政治基盤であるMAGA(「米国を再び偉大に」を唱える政治運動)が、西半球を絶対支配圏とすることを許さないからです。ベネズエラではマドゥロ大統領こそいなくなりましたが、チャビスト(チャベス元大統領支持派)政権は健在です。外電によれば、カラカス市内では、親マドゥロ政権民兵組織「コレクティーボ」要員がカラシニコフ銃を持って市民の検閲を繰り返しています。市民のスマホを取り上げ、SNSなどでトランプ氏への支持やマドゥロ氏を非難する言葉を見つけると逮捕しているそうです。
中南米事情に詳しい米州住友商事ワシントン事務所の渡辺亮司調査部長は「ロドリゲス氏(暫定大統領)らは本音では、自らの失職が想定される政権移行は望んでいないはずだ。カリブ海への米艦隊派遣もコストがかかり、いずれ他地域の有事で移動せざるを得ないことも考えられる。ロドリゲス氏らは時間稼ぎをして米国の影響が弱まるのを待つかもしれない」と語ります。だからといって、米軍が地上展開すれば、それこそ「第2のアフガニスタン・イラク」となり、トランプ氏はMAGAの支持を失うでしょう。