平日はお酒禁止、大統領に媚びれば昇進? 米国と中国の軍隊をむしばむ厄介な問題
激しい対立を続ける米国と中国。ただ、お互いの軍隊よりも内部に問題が。お酒と昇進がもたらす弊害とは。牧野記者が関係者の話などから読み解きます。
牧野愛博(朝日新聞専門記者)
2025.03.02
読者限定
トランプ米政権が発足早々、中国と対立しています。米国務省は今月、ホームページで公開していた文書で「台湾独立を支持しない」という文言を削除しました。米国の駆逐艦と海洋測量船は2月10日から12日にかけ、台湾海峡を通過しました。いずれも中国は激しく反発しています。緊張が高まる米中両国ですが、両国の軍隊は今、見方によっては外国の軍隊よりも、お互い内部にある厄介な問題に直面しています。
「あなたのおかげでお酒が飲めます」
先日、知り合いの安全保障専門家が訪中しました。中国軍が関与するシンクタンクとの意見交換が目的でした。意見交換は充実した内容になったそうですが、それよりも彼が驚いたのは、中国側関係者の「愚痴」でした。平日のある日、双方は意見交換が終わって酒席になりました。中国の関係者はこう言って喜んだそうです。「今日は、日本人のあなたのおかげでお酒が飲めます」
どういうことなのでしょうか。
「日本人のおかげで」が意味するのは? お互いの軍隊以上に厄介な問題を抱えている米中の両軍の内部事情を読み解きます。キーワードは「こびれば承認するのか?」です。